◆コロッケ屋が自店のコロッケを食べたら脱税?
今年の確定申告シーズンも佳境を迎えました。1/28に四谷支部主催の確定申告無料相談に出席したのですが、相談開始初日ということもあり、大変多くの方にお越しいただきました。
その中でも特に、手書きで申告書を作成し、税額もぴたり一致させていらっしゃるご高齢の方の多さに驚きました。
今でこそパソコンが普及し、ネット環境があれば国税庁の確定申告書作成コーナーでも簡単に申告書を作成できますが、手書きで作るのはこれはもう大変です。
皆さん年に一度の頭の体操と仰っていましたが、共通して元気で若々しい姿が印象的でした。
話しそれましたが本題について。
観たことはないですが、1987年公開の映画マルサの女にて、総菜屋の調査で店の残り物の扱いを確認するシーンがあるそうな。
調査官「売れ残りのコロッケはどうするんですか?」
店主「食べているよ」
調査官「そうですね、捨てるのはもったいないし」
店主「そうだよ、家族みんなで食べてるよ」
調査官「それでは売上計上漏れで脱税です」
店主つらすぎて草。
うんうん話しを合わせてあげてたら突然の垂直落下。かわいそう。
脱税って某青汁くんやタカラジェンヌさん、たこ焼きばーさんみないなことを言うんじゃないんですかね。まー映画の世界ですが。
いわゆる自家消費の論点ですが、上のやり取りがまさにそれで、個人事業者が自分の商品を自分や家族で消費することを言います。飲食業では必ずと言っていいほど挙がる論点です。
仮に
店主「もったいないけど破棄してるよ」
と答えた場合、課税関係は生じないことになりますが、例えば塵芥処理の項目(廃棄量とのつじつま)でボロが出たり、場合によっては調査官が廃棄物の中身を把握したうえで調査に臨んでいることもあります。
本当に全部捨てていることもあるかもしれませんが、一般的に多少は自家消費するはずという考えのもと、実務上一定額を「雑収入」として計上することがほとんどです。
総菜屋や弁当屋を営んでいる個人事業主の方で、申告書に雑収入の計上がない場合、ここを突かれる可能性はかなり高いため、雑収入計上をしていない根拠がほしいところです。
この根拠についても悩ましいところで、事業関係者や友達にあげてるであったり、従業員に食べさせているといった場合でも課税関係が発生します。
と考えると、ロストを一切出さないで回しているか、出ても断固捨ててるないし犬猫のエサにしてるって答えるしかないですね。エサも自家消費だ!って言われるんですかね。知らないですけど。
ちなみに雑収入として収益計上すべき金額ですが、商品の売値の70%か仕入値のどちらか高い方とされています。
1個100円のコロッケの原価が20円とした場合、70円が雑収入です。
さらに言うと消費税の課税事業者である場合、細かい規定は端折りますが、70円の雑収入のうち50円が課税売上となり、その分の消費税も発生します。
まーしかし実務上はざっくりいくら、みたいに決まるケースが多いと思います。
もう間もなくで確定申告の期限となりますが、特に飲食関係の方は、今一度この「自家消費」の論点をチェックしてみてください。
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