◆追徴税額は約1800万円

朝から目に飛び込んできたニュースでした。森野ってあの森野?あの菅野キラーのあの左の?と、巨人ファンからしたらよく打たれている印象の選手ですが、果たしてどんな内容だったのかと気になりました。
以下毎日新聞より一部引用です。

プロ野球・中日の森野将彦2軍打撃コーチ(39)が中日の選手時代に名古屋国税局の税務調査を受け、2013年までの3年間で約4200万円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。必要経費として認められない生活費を総収入から差し引き、事業所得を少なく申告していた。

森野コーチは家族と食べた焼き肉やウナギなどの外食費のほか、食料品、高級紳士服、腕時計、女性用アクセサリーなどの購入費を必要経費として計上した。家族とのハワイ旅行、自宅の警備、クリーニングの費用も加えていたとされる。これらについて国税局は、生活上の個人的支出で、事業上の経費に当たらないと判断して追徴課税した模様だ。

毎日新聞

なんともまぁ。。何とも言えない内容ですね。
プロ野球選手のお話しで言うと、以前小久保氏や宮本氏などが絡んだ「プロ野球脱税事件」が有名だと思います。
この事件と今回の森野コーチとの決定的な違いは、前者は悪質な「脱税」、後者は見解の相違による「申告漏れ」です。

 

 

 

プロ野球脱税事件は随分前の話しなので、どういうことだったのか改めて調べてみると、ある経営コンサルタントが所得税を免れる術を持ち掛け、架空の人件費、顧問料、その他経費関係の領収書を切り、プロ野球選手の脱税を指南したとあります。この中に小久保氏や宮本氏といった超大物も含まれていて、執行猶予付きの刑事罰が下されています。
これは確かに脱税の意図があり、知らなかったでは済まない問題だったんじゃないかと思います。間違いなく重加算税がつくはずです。

それに対して森野コーチは、架空の経費計上はなく、あくまで本人が事業遂行上の「経費」だと思って申告したものの、国税に待ったをかけられた形です。
客観的に見て、女性用アクセサリーや腕時計、家族とのハワイ旅行が「経費」になるわけない!脱税だ!とも思われそうです。文面だけ見ればそう思います。
ただし、経費に計上するということは、個別事情で総合勘案し、本人が事業に直接要するものとして捉えていた、という点がポイントになろうかと。

プロ野球選手も個人事業主として事業収入が発生し、そこから「必要経費」を差し引き、事業所得を計算します。
「必要経費」とは、

1.総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
2.その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

とありますが、要は事業に関連する費用という括りです。
極端な話し、事業主が必要経費だと思ったら必要経費、そうじゃないなら経費外ぐらいの、物凄くモヤっとしてて曖昧な基準です。
条文上、所得税や住民税、罰金、過料・科料等、経費外と列挙されている項目もありますが、はっきりと明示しているものは限られていて、限定列挙という感じです。

現に森野コーチは「過少申告加算税」を課されているので、当局からも悪質性はないと判断されたと思われます。
だから脱税ではなく、申告漏れです。
ただ残念なのは、すべて税理士に任せていて必要経費だと思った、というのは税理士に責任を転嫁しているようで悲しいです。
有名人で影響力の大きい方からこその発言かと思いますが、もう少し真摯に向き合った声明を発表してほしかったです。

 

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