◆千葉県のパチンコ店が巨額の追徴を食らう

ヤフーニュースを読んでいて驚きの記事を目にしました。千葉県のパチンコ店で行われていた税務調査において、再三にわたる帳簿書類の提示を拒否、結果国税当局が仕入に係る消費税の控除を認めず、3年間で消費税約35億円の追徴課税決定を行ったということです。

額が額と言うのも驚きですが、帳簿書類を提示しなかったから仕入税額控除を一切認めないというのは、さすがにパワープレー過ぎるなと思いました。それはもう闘莉王をワントップで使うぐらい。消費税の原則課税方式は、売上げに係る消費税(仮受消費税)▲仕入に係る消費税(仮払消費税)で納税額を算出しますが、今回自社が購入した景品などの仕入税額控除が認められなかったようです。パチンコ業界における景品類と言うのは、見方によっては売上げに直結する原価のようなもので、取引として往々にあって然るべきと思われますが。。

 

 

◆そもそも帳簿とは?
帳簿とは、端的にいうと取引を記録した帳面です。日付、金額、内容、相手方の氏名又は名称といった具合に記載します。
企業には、その取引の基となった請求書や領収書、納品書、伝票なども合わせて保管する義務があります。仕入に係る消費税の控除の要件として、取引額が3万円以上であればその帳簿と請求書、3万円未満であっても最低限帳簿の保管が要請されます。条文上、確かにこれらが具備されていなければ、消費税が控除されないことになります。

とは言え!あくまでそれは原理原則の話しであって、今回のように通常の取引として100%あり得る事例を認めないというのはどういうことよと。当局得意のルールはルールですから、とか言ってたんですかね。記事では何回も拒否ったからと出てましたが。

あくまで推測ですが、納税者側がこれに応じた(のか?不服申し立てしてるのかも)理由は2点あると思います。
一つは35億で済むならまあいいかと割り切るパターン。下手に帳簿を開示したら、それ以上に追徴課税が来る可能性があり、それなら開示を突っぱねて当局の指示を仰ごうと考える。

もう一つは取引先を探られたくないパターンです。税務調査が入った際、取引の正当性を調べるために、相手先に反面調査が入ることがあります。会社は事業を継続するうえで、あらゆる事情や要因が渦巻きますので、反面によってその後の取引や関係性に亀裂が生じることも十分あり得ます。ありがちな話しですが、たぶんこんなとこだったんじゃないかと思います。

 

 

 

◆それでもしこりが残る点について

今回の件、解せないのは仕入税額控除だけ認めなかったことです。てことは、損金性は認めたってことなのかと。帳簿非開示ということは、元帳とかも一切見てないんだと思いますが、決算書の数字だけ見てこれは○○費、これは○○費、でも税額控除はダメって何かおかしくないですかね。どう考えても賞与や寄付金、交際費、はたまた使途秘匿金認定されてもおかしくないと思うんですが。。まあ報道のされ方が消費税をフィーチャーしてるんで、実際には法人税額も追徴出てるのかもしれません。それにもしかしたら、そこをひっくるめての交渉で、最終的に35億の追徴という形で着地したのかもしれません。

いずれにしても、当たり前のことだと怒られそうですが、帳簿書類の重要性を再認識させられる事例でした。

そしてあっという間に大晦日となりました。
間もなく2016年も終わりますが、来年はもうちょっと更新頻度を上げていきたいと思います。。
今年一年、ありがとうございました!来年もよろしくお願いいたします!

 

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