◆贈与か一時所得か、税金が発生する可能性も
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて年明け早々、センセーショナルな話題で盛り上がっているZOZO前澤社長。100万円を100人に!総額1億円のお年玉!とは話題作りにもってこいですよね。ゴーリキーを彼女に持ち、月に行く男はスケールが違います。そこにシビれます。

これについて、景品表示法に抵触して法務面でアウトなんじゃないかとか、Twitterの規約的に問題あるんじゃないかとかやはり話題となっているわけですが、個人的に課税関係がどうなるのかが気になりました。全くもって野暮なもんです。
税金に置き換えるのは職業柄ですが、今回のお年玉作戦は人によって意見が分かれる論点だと思います。

 

まず真っ先に思い浮かぶのは、100万円は贈与なのではという点です。仮に贈与だとしたら、毎年暦年(その年の1/1~12/31)で110万円の基礎控除があるので、税金(贈与税)は0円ということになります(お年玉100万円<基礎控除110万円)。
ただ一点注意が必要なのは、同一暦年中に他の人(例えば親など)から100万円贈与を受けました、そのうえでラッキーなことに前澤社長からも100万円もらいました、というケースでは、100万円+100万円=200万円となるので、110万円引いた残額の90万円が課税対象となり、9万円の贈与税が発生することになります。そんなことなかなかないと思いますが。

今回、前澤社長が個人的にお年玉を「あげる」としています。贈与は贈与者側の「あげる」という意思表示と、受贈者側の「もらう」という受諾による、諾成契約によって成立する契約です。
個人のポケットマネーから行っているんだから、それって贈与でしょというのが一つ目の論点です。
余計なお世話ですが、ZOZO(スタートトゥデイ)の株主が怒りそうですよね。

 

 

 

もう一点が、100万円は懸賞金の一種で一時所得なのではという点です。一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいい、代表的なものは

  1.  懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
  2.  競馬や競輪の払戻金
  3.  生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
  4.  法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
  5.  遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

となります。
私見ですが、今回のお年玉は贈与ではなく、この一時所得に該当するのではと考えます。

たしかにポケットマネーで1億円もの大金を拠出するのかもしれませんが、Twitterを利用したメディア戦略、不特定多数の者に対する広告宣伝効果というのは、嫌でも否定できないと思います。
広告宣伝の意図はなかったとしても、これだけ大々的にメディアに取り上げられることは想像に難くないし、現に世界的にも「ZOZO」の社名は大きく認知されることになったはずです。
身内からお年玉をもらうのとは訳が違いすぎるんじゃないかと思います。しかも超高倍率なわけですし。贈与が成立するかといったらちょっと疑問です。
もちろんこの1億円を経費にすることはないと思うので、ZOZOに課税関係が生じることはないと思われますが、もらう側は一時所得なんじゃないかというのが個人的見解です。

では100万円が一時所得の場合、税金はいくらになるかですが、所得税は累進税率を適用しており、個々人の所得によって税額が変わるのでケースバイケースです。
所得は、(100万円▲50万円)×1/2=25万円と算出され、これが給与所得なり事業所得なり不動産所得なりと合算されることになります。
税額は0円~139,800円(復興税・住民税含む)の範囲で決まります。

 

 

多すぎる仕送りに贈与税はかかんないの?とか、パパ活に贈与税はかかんないの?とか、ギャンブルで一発当てたけど税金は?とか、何気なくさらっと流しがちですが、考えてみると税金て身近にあるものだと思います。
今回の前澤社長の大胆すぎる行動は、税金について改めて考えさせられる事例となりました。

 

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