◆腹心の離反は二重の苦しみ

経営の私物化!たけし激怒!みたいな報道が連日行われていましたが、その原因は自社株にあるようでした。
もともと「オフィス北野」の雇われ社長だった森氏。調べてみると、1992年に当時の大株主であった東通(テレビ制作会社)が倒産状態に陥った際、森社長はオフィス北野からお金を借り、そのお金で東通が保有していた株を購入、たけし氏を抜いて筆頭株主へ、という一連の動きがあったようでした。

このときのやり取りは書面などで残ってないようで、言った言わないの水掛け論になってるようです。
結果森社長は筆頭株主であることを利用し、自身の役員報酬を高額にするなど会社を私物化、たけし激怒!株返せ!という。

個人的には、森社長が強かに行動したなと感じています。もちろん私物化とか専横とかっていう意図はないのかもしれませんが、報道を見る限りではやっぱりそういう印象を与えてしまいます。
そしてたけし氏もちょっと脇が甘かったのかなと思います。
オーナーとして雇われ社長を管理・監督する立場だし、会社の根幹である株の売買なんていうのは、少なくとも一筆残しておくべきだったと思います。取得に際しても、議決権に制限を付けるなど慎重に行っていれば、今回のようなトラブルは未然に防げたはずです。
結果、たけし氏は信頼していた人物との折衝、会社の乗っ取られという二重のダメージを受けることになったと思います。

 

 

 

◆団塊世代社長が次々と引退期を迎え、事業承継対策が急務

オフィス北野に限らず、お家騒動はどこにでも起こり得る問題です。大塚家具なんていい例ですよね。だからこそ会社分裂を防ぐためにも、事業承継は非常に重要です。

単衣に事業承継と言っても、当然明日明後日でできるわけではなく、時間をかけて一つずつクリアしていく必要があります。
ヒトやモノの承継ももちろんですが、カネであったり、経営ノウハウであったり、理念、方針といった無形なものも含め、承継しなければいけないものは多岐に渡ります。
よく事業承継5か年計画と言いますが、長期的なスパンで逆算していき、社長の引退というゴール、新経営者のスタートに向けて入念に準備を進めていくべきと考えます。

政府としても、今後訪れる事業承継の波に備え(といっても後手後手の感はありますが)、平成30年度の税制改正によって「事業承継税制」の要件緩和を図りました。
これによって今まで使い勝手が悪かった同制度ですが、円滑な承継ができるよう税制上のバックアップをし、急激な法人消滅に歯止めをかける狙いがあります。
ちなみにこの「新事業承継税制」ですが、ものづくり補助金と同じく「経営革新等支援機関(認定支援機関)」の指導・助言が一つ要件となってます。

経営革新等支援機関の認定を受けました!

会社分裂リスクとして、「認知症」というのも忘れてはいけない事項です。
厚労省によると、2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人、全人口のおよそ10人に1人が認知症になると言われています。
由々しき事態ですね。
現社長の判断能力が鈍り、とっぴな方針転換を示したり、取引先との信頼関係も崩れたりしたら、それこそ会社存続の危機に陥る可能性もあります。
特にたけし氏(認知症ではありませんが)のようなカリスマ性のあるリーダーであれば、誰も異を唱えることはできないでしょ。
あらゆる事態に備え、今一度会社の「承継」問題にじっくりと向き合うことも、リーダーに求められている資質なんじゃないかなと思ってます。

 

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