◆年間の借地料は右肩上がり

最近目にした記事で、「軍用地」というあまり聞き慣れない言葉がありました。ニュースでもよく嘉手納、普天間の問題は耳にしますが、これと不動産投資がどうリンクするのかイメージが沸かきませんでしたが、なかなか興味深いものでした。

軍用地は、土地のすべてを国が所有しているわけではなく、個人や法人などの民間が所有している部分もあります。この民間が所有している土地に対し、国は地主と賃貸借契約を結び、地主に対し年間の借地料を支払います。この借地料が軍用地投資の一つの魅力です。

地場の不動産会社に掲載されている軍用地の一覧より、一例を挙げると

嘉手納飛行場
価格:約1480万円
借地料:約28.5万円
倍率:52倍⇒売買価格を決める補正率で、価格=年間の借地料×倍率で算出される

とあります。
表面利回りは約1.92%なので、投資額の回収に足かけ52年かかる計算になります。
低い低いと言われている、都心における不動産投資の表面利回りが4.5~4.8%(5%を切るくらい)なので、それよりもはるかに低い利回りです。
一見恐ろしくローリターンな投資ですが、それを十分補えるメリットがあるようにも感じます。

 

メリット コメント
収益が確実 国が相手なので、空室リスクがなくこれ以上なく確実
借地料の値上がりが期待できる 近年、毎年1%以上値上がり
担保価値が高い 金融機関の評価が高く、軍用地主ローンという商品もある
ランニングコストが極めて低額 マンションのような管理費・修繕積立金がない
キャッシュ化が容易 買い手がつきやすく、換金がしやすいと言われている
相続税対策に有効 相続税評価額による節税効果は絶大

 

デメリット コメント
利回りが極端に低い 投資額の回収までに費やす期間が長すぎ
土地返還の可能性 返還された場合、借地料の支払いがストップ。ただし、取得価格を上回る補償があることも
地元が圧倒的に有利 いわゆる「おいしい物件」が本土に回ってくることは稀
軍用地主会への加入 年間借地料×0.5%ほどのコストが発生

この中でも特に、借地料の値上がりと相続税対策は非常に注目すべきポイントです。
借地料は毎年8月に1年分が支払われる仕組みで、近年は地主団体と国との協議により、毎年約1%以上の値上がりがあるようです。
当然この値上がりは毎年約束されているものではありませんが、基地を巡る問題は根深く、ある程度続くのではと思います。
ググるとすぐに出てきますが、沖縄県在住の投資家三浦弘人氏のようなケースも十分あり得るわけです。

 

 

 

 

◆軍用地による相続税節税効果
そうは言っても何この利回りいらねと言うギャンブル気質の方でも、軍用地投資によって大きく節税できる税金があります。それが相続税です。
例えば定期やら預金やらに1億円のキャッシュを眠らせていても、相続税の計算上何の減額要素もなく、莫大な税金が発生します。
であれば、1億の軍用地を購入し、子どもや孫に相続・遺贈させ、その後の借地料という収益果実を下の世代に落としていった方が、よっぽど資産をうまく承継させることができると思います。
しかもこれだけ軍用地へのニーズは高まってきていて、面倒な管理などもなく、かつ借主が国という点を考慮すると、軍用地が生活の足を引っ張ることはあんまなさそうです。
わけのわからない投資物件を購入し、残された者が迷惑する「負」動産になっては本末転倒なので、そういった点でも魅力かなと思います。

細かい計算は端折ったざっくりとしたシミュレーションですが、

財産総額1億円、相続人2人とした場合の相続税について

相続財産 現預金 軍用地
財産評価 時価 固定資産税評価額×倍率×(1-借地権割合)
相続税評価額 1億円 約3340万円
基礎控除 4200万円 4200万円
相続税額 770万円 0円

となり、1億円の軍用地を相続すると、相続税は0円になる計算です。
逆にキャッシュ1億を相続した場合、このケースでは770万円相続税が発生します。
相続税は所得税と同じく累進課税なので、財産の総額が大きくなればなるほどこの税額差額も大きくなり、より節税効果が表れることになります。

 

不動産投資の新たな手段として、この軍用地投資はたしかに面白い要素を含んでるんじゃないかと今後注目していきます。

 

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