◆繰り返される同様のミス、納税者の権利を著しく阻害
先日の 税務署で作成した確定申告書が間違っていた件 でもお伝えしましたが、先月全く同じミスによって、本来納めることのない所得税を払ってしまうという事態が起こりました。
年の中途で転職したり、複数箇所から給料や所得が発生している方は特に注意が必要です。
今年の確定申告で、こちらで申告受託していたA氏のもとに、突如所轄税務署から一通の封書が届きました。
そこには、
「平成28年の確定申告内容に計算誤り、記載漏れがある」
との記載があり、さらに税務署側が作成した修正申告書と納付書が同封されていて、申告書は自署押印後返送するように、納付書は速やかに納付するようにとありました。
後程詳しく説明しますが、この修正申告書、めちゃクソ間違ってます。ホントに許せないです。めっちゃ怒ってます。A・猪木氏に闘魂注入してほしいくらいです。
まず何がイケてないかって、こちらで申告書の作成、申告を行っているにもかかわらず、何の通知や照会もなしに一方的にA氏に対して更正決定を行っていること。
さも人を脱税者とするような口調で、突然税務署から修正しろ!納付しろ!と来られちゃたまったもんじゃありません。
A氏からしたら、こちらに全面的に委託しているのに、何故こんなことになろうかと思われたかと思います。
☝今回の概略図。計7か所からの給料を税務署に申告。このうちa社とb社の給料はc社で合算されている。市役所には、a~h各事業主から給料の報告が行き(給与支払報告書といって、源泉徴収票と同じようなもの)、これを基に住民税を賦課決定。税額をメイン勤務先のc社に通知し、c社は給料から住民税を天引きする仕組み。余談ですが、よくある副業が会社にバレる、という理由はここにあり。自社からの給料に対して住民税が大きい、と某コナン君並みの鋭さでメイン勤務先が感づくと、発覚することもあります。しかし確率的にかなり低く、大半は密告などにより把握されていると思われます。
市役所側はaとbの給料がcに合算されていることを分かっていたから、今回のケースでは住民税の金額に誤りはない(ただここの間違いがかなり多く、住民税が過大になっているケースがよく散見される)。市役所と税務署はヨコの繋がりがあり、市役所側で把握している所得の情報が税務署に回る。税務署はその情報と申告内容を照らし合わせ、申告漏れとなっている所得がないか、扶養の誤りがないか照合する。つーかこの時点で市役所側もc社分は合算されてるって教えてやれって話しですよ。その逆もしかりで、相互にチェックを行っている。今後はマイナンバーを基に所得の捕捉を行うと思われる。
ほどなく、A氏から上記の経緯を聴取し、a社とb社の給料はc社に合算されているから、当初申告内容に相違はない、ということを伝え、税務署にもそのように回答するようお願いしました。
A氏は指示通り、そのことを税務署に伝えると、開口一番
「合算はされていない。別々の所得。延滞税がどんどん加算されていくから、早く納付しなさい。」
という驚きの回答が来たとのこと。開いた口が塞がらないとはこのこと。ふざけてますね。過大税額の納税を促すってどういうこっちゃ。
延滞税が膨れることを嫌ったA氏は、この後誤った所得税を納付するに至ります。
調べれば一発だし、その時点で市役所に照会すればすぐに分かることなのですが、いくら言っても認めなさそうだったので、c社から28年分の源泉徴収票と源泉徴収簿を取り寄せていただきました。
そこに記載されている内容を見れば、否が応でも認めざるを得ないはず。
資料がすべて揃い、途中FAXだと字が潰れていて見えづらいから郵送で送るなどありましたが、ようやく調査官に合算済みという事実を確認させました。
その後、統括調査官からも直々に謝罪の連絡をいただき、無事に誤納付分の所得税は還付されました。
還付加算金も乗っけて返してほしいくらいです。
【例:a社300万、b社500万、c社200万の給料だった場合に市役所にくる給与支払報告書のイメージ】
▲c社はa社とb社を合算させて年末調整を行うため、c社の支払金額は1000万円が記載される。
◆正しく納税もできないこんな世の中じゃ
つい最近も大津市で課税漏れ、過大徴収というニュースが出ていましたが、同じような間違いは全国津々浦々少なからず発生していると思います。
その原因は、課税課の単純な入力ミスなのか、それとも源泉徴収票(給与支払報告書)の読み方が分からないのか知りませんが、税金を賦課決定する以上、絶対に間違ってはいけないと思います。
納税者の方も、それが誤っているとは夢にも思わないはずです。
固定資産税の誤りも全国で多発していますが、どうせ分からないだろう、気がつかないだろう、という心意気で放置されている案件があるとしたら、納税者の権利を著しく阻害してますね。(阻害というか、ここまでいってたら馬鹿にしてますね。)
日本の税制は複雑で難解とはよく聞く話しですが、その申告内容、住民税、固定資産税など、本当に合ってるの?という言わば健康診断のような役割も、我々には求められていると思います。
繰り返しますが、転職者や複数箇所から給料がある方!非常に行政側の間違いが多いので注意してくださいね!
過去にお心当たりがある方、もしいらっしゃいましたらチェックいたします。
5年以内であれば還付可能です。
合わせてコチラもご覧ください。
・税務署で作成した確定申告書が間違っていた件
・固定資産税が還付【札幌地裁の判決より】