◆居住用、時々事務所用マンションの固定資産税は要確認!
先日、札幌地裁で興味深い判決が下されました。その内容は、賦課課税方式である固定資産税(都市計画税を含む。以下「固都税」)と不動産取得税について、札幌市と北海道が行った賦課決定は不当、遅延損害金という利息付きで過大徴収税額の返還が命じられた、というものです。この判決により、今後似たようなケースで、固都税や不動産取得税の還付請求が各自治体で勃発する可能性があります。
そもそも税金の課税方法には、法人税や所得税のような納税者が自主的に税額を確定させ、税務署に対して申告する「申告納税方式」と、国や行政が税額を決定する「賦課課税方式」の2種類が存在します。固都税の税額は賦課課税方式に該当し、以下の計算式に従って納税額が算出される仕組みです。
固定資産税 | 課税標準額×1.4% |
都市計画税 | 課税標準額×0.3% |
土地や建物の課税標準額については、調査員の人が何だかよく分からないところで調査しているんです程度に割愛しますが、今回のケースでは、建物であるマンションの課税標準額算定方法に合理性がないと判断されました。ポイントは、マンションの用途が居住用であれば固都税が安い、事務所用であれば高いという点です。
ここで札幌市が行った方法というのが、一棟のマンションについて、事務所部分は事務所用として算定、居住用部分は居住用として算定というもので、用途に応じて別々に計算していました。これに対して裁判所が下した判決が、建物の主要な用途が居住用ならば全体を居住用として計算して、各共有者の床面積に応じて税額を負担するのが妥当というものでした。これにより、原告側の当初納税した固都税と不動産取得税は過大で、差額計約62万円が還付されることとなりました。
◆賦課決定というブラックボックス、納税者が調査官に
賦課課税方式は、たしかに行政側が勝手に計算してくれるので、納税さえしていれば何も文句は言われず非常に楽です。ただし、今回のケースのように計算が間違っていることもあり、何もアクションを起こさない限り余分に税金を払わされている可能性も大いにありうるわけです。特に固都税の算出について、詳細な手法については各自治体(それこそ担当調査員レベル)の裁量によるところがあり、同じ条件なのに計算結果が異なることがあります。ちなみに今回の札幌市のように、用途ごとに異なる算定を行っている自治体はほかに、横浜市、相模原市、浜松市、大阪市、北九州市、熊本市、京都市などがあるそうです。横浜市も入ってますね。むむ。
申告納税制度においては、納税者の申告に基づき納税額が確定されるため、どうしても調査はつきまとってきますが、特に固都税や不動産取得税のような賦課課税方式の税目については、本当にそれが正しいのか、私たちが調査するような立場になって考えていくべきかもしれないです。
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