◆俗に言う5棟10室基準とは?

いよいよ確定申告の時期に差し掛かってきました。資料をかき集め、慌ただしいせわしないこの時期は、如月ならぬヤンキーあふれる木更津のようで、師走の余韻を感じずにはいられません。can’t help ~ing的な。余韻g的な。意味不明でごめんなさい。疲れているのでしょうか。

 

 

 

前置きはこの辺で、タイトルの件について。事業的規模とはなんぞや?という感じですが、その不動産賃貸がきっちりしたビジネスというのか、それとも趣味の範疇なのかぐらいの違いだと思います。プロとアマチュアぐらいの違いでしょうか。いや、侍ジャパンと高校野球ぐらいでしょうか。いやいや、猪木と渕(ry
この境界として、実務的に5棟10室基準というものさしで判断されます。弊所の料金体系におきましても、この5棟10室以上(事業的規模)と5棟10室未満(事業的規模じゃない)で線引きさせて頂いております。

この事業的規模か否かで何が変わるのかと言うと、代表的なのが青色申告者の特典である所得控除について、65万引けるのかそれとも10万なのかという点です。言うまでもなく、税金面では前者の方が有利ですので、事業的規模に該当する場合はもれなく65万控除を適用したいところです。あとは専従者給与も出せます。これもかなり大きいです。それ以外にもいくつかありますが、省略します。

ただし、65万控除の適用を受けるには、正規の簿記の原則に従って帳簿を付けなければならず、貸借対照表も作成しなければなりません。要するに手間が増えます。故に料金面でどうしても差が出てしまうんです。

 

◆所得が多い=事業的規模ではない!

以前、賃貸収入が1000万以上あれば65万引けるんでしょという話しを耳にしました。たしかに家賃収入で1000万以上いくなら、大概のケースで事業的規模の基準を満たしていると思われますが、例えば一棟物のアパートなどで全6室や8室の場合。これは10室の基準を満たさないので、厳しいと思われます(実質基準に照らせばOKなケースもありますが、長くなるので端折ります)。過去の判例でも、家賃収入が多くありながら、この基準で事業的規模と認められなかったケースが多くあるようです。ただし、駐車場も同時に貸し出している場合は5台分=1室と形式的に捉えるので、8室+10台(2室扱い)は基準を満たすと考えられます。ちなみに更地の貸付も駐車場と同じ取扱いをします。

▼下記はあくまで目安です

貸家 貸室 駐車場 更地 合計 判定
2棟 6室 5台 5区画 12室分
1棟 4室 2台 0区画 6室分 ×
3棟 4室 4台 9区画 12室分

 

それにしても貸家5棟と貸室10室のように、形式基準という明文化されていないものさしで判断するケースは、実務上多々あります。条文に書いてあるから、そう明文化されて決められているから、という杓子定規的に考えるのではなく、実質基準と形式基準に照らし合わせて判断が求められる。実生活においても、柔軟に物事を考えていきたいですね。

 

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