◆源泉徴収ありを選択した特定口座、そのまま放置していないですか?

確定申告シーズン真っ只中につき、今回は所得税について。
医療費控除や確定申告対象者のお話しなど、ネットで検索すればいくらでも出てくるようなトピックではなく、あまり馴染みがないと思われる分野を中心に進めていきたいと思います。

 

タイトルの通り、源泉徴収ありを選択した特定口座ですが、これには二つの落とし穴が存在します。株式等の売買を行うには、証券会社を通じて証券口座を開設しなければなりません。その際に、特定口座か一般口座を選択し、特定口座を選択した場合はさらに「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」を選択することになります。一般口座や源泉なしの特定口座については、今回は割愛します。

源泉徴収ありの場合、同一年度内における株式等の売買や配当等に係る税金の計算を、証券会社が自動で行ってくれます。例えば、50万円で取得した株式を100万円で売却した場合、売却益50万円に係る税金101,575円を控除した898,425円(証券会社の手数料除く)が証券口座(MRFなど)に入金されるという仕組みで、納税がそこで完結されます。逆に100万円で取得した株式を50万円で売却した場合、売却損である50万円について、同一年度内であればそれ以降の売却益と通算してくれます。ただし、年度をまたいで売却損を繰越すには確定申告が必要となります。ここが一つ目の落とし穴です。

 

 

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自分で確定申告をする必要がない、と思うとつい見落としがちなのですが、売却損が出ていて損失を繰越さないのは、本当にもったいないです。まして株式等の売却益や配当に対しては、平成26年より所得税・住民税合わせて20.315%と、それまでの倍に税率が上がっていますので、より税負担が重くなっています。損切りをしたとしても、毎年連続して確定申告することで3年間は繰越せるので、注意が必要です。

*詳しくはこちらの国税庁HPをご参照ください。

 

◆損失もない。確定申告不要かと思いきや・・・

とここまでは至極普通のことをお話ししました。なーにあたりまえのこと言ってそんくらい知ってるわこらーという皆さん、お待たせしました。二つ目の落とし穴ですが、専業主婦の方など、株式の売買や配当以外に所得がない方に特に注意していただきたい点です。

上述の通り、源泉徴収ありの場合配当や譲渡益について税金が差し引かれるのですが、この配当の金額と譲渡益の金額を合算して、基礎控除額である38万円以下の場合、税金は全くかからないのです。生命保険料控除等がある場合、この金額がさらに跳ね上がります。つまり、他に所得がないことを前提に、売却益等が年間38万円だとすると、確定申告をすれば77,197円税金が還付されるのです。もちろん、予め一般口座や源泉徴収なしを選択した場合はこのようなことを考える必要はないのですが、何となくラクそうだから源泉ありを選んでいないでしょうか?
世の中には知らなければ損をすることがたくさんあると思いますが、この制度は意外と盲点だと個人的に感じています。

*専業主婦の方については、38万円を超えてこの申告をすると、控除対象外又は配偶者特別控除になることがありますので、注意が必要です。

 

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