◆3000万円控除をフルに使えるケース

居住用財産、いわゆるマイホームを売却した際に売却益が生じていた場合、一定の要件のもとで確定申告を行うと、その利益から3000万円を控除することができる特例があります。不動産を譲渡したときは、その土地と建物をいくらで取得したかが大きなポイントとなりますが、マイホームを譲渡した場合、取得価格が不明だとしても、この特例を使えば大半のケースで税額をゼロにすることが可能です(贈与税の配偶者控除などをうまく使い、その効果をさらに倍増させるなど細かな面もあります)。他に買換えの特例等、マイホームを譲渡した際には特例が多くあり、その後の生活に支障をきたさないよう国策で定められています。

 

前置きが長くなりましたが、自宅の一部を貸している場合や、店舗兼住宅を譲渡した場合は、その面積に応じて3000万円を按分しなければなりません。つまり、1階がお店で2階が住宅として使用しているケースは、単純に1500万円の控除となります。自宅の一部を貸しているというケースはあまり想定されないかもしれませんが、例えば社長の自宅を一部会社に貸し付け、事務所用として使用している場合など、面積按分の必要性がでてきます。同族会社においては、会社から賃料を取るというケースは多くありますので注意が必要です。
ただし、居住用(A)と非居住用(B)の割合を計算した結果、居住用の割合が90%以上となった場合は面積按分をすることなく、3000万円控除をフルに使用することが可能です。なお、この居住用の割合にはトイレや廊下など、いわゆる居住用・非居住用のいずれにも使用される共用部分についてもさらに細かく按分し(C)、(A)+(C)の割合が最終的に90%以上になればよいこととされています。

 

 

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◆90%以上はなかなかあてはまらない。けど3000万円フルに使いたい・・・

そうは言っても、どうやって10%のスペースで店経営するんじゃい!あれか、魚屋なのにサンマしか置けないんか?サンマオンリーで勝負するしかないんか!?というところですが、これはもうどうしようもありません。。ただし、こんなことを言ったら怒られそうですが、店舗兼自宅を売却するということは、お店を廃業することが想定されます。廃業せず事業は継続するにしても、店舗兼住宅は売却するわけな(これ以上は自嘲します)。
3000万円控除の使いやすいところは、居住用の年数などが要件にないことです。もし売却することが決まっているのであれば、先に廃業届を提出し、それから売却をすれば面積按分することなくフルに使用することが可能です。ただし、廃業したからと言って店舗スペースをそのまま放置していたのでは否認される可能性があるため、あくまでその後は自宅として使用したと立証できる根拠がほしいところです(例えば物置として使用する、業務用の冷蔵庫は処分する、建物の登記事項が店舗兼居宅等になっているのであれば、店舗から居宅に変更した旨の表示変更登記を行っておくなど)。
会社に一部貸し付けているケースも同様です。
ワンクッション置くことで大きく税額が変わることなので、マイホームに限らず不動産を譲渡する際は、事前に綿密な打ち合わせを行うことが肝心です!

 

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