◆相続対策としても人気のタワーマンション節税

タワーマンション節税(タワマン節税)についにメスが入りそうです。タワマンの特性として、これまで高層階になるほど時価とかけ離れる傾向にありました。通常、高層マンションは上層階に行くほど眺望等に優れ、低層階よりも市場価格が高くなります。これが何を意味するかと言うと、相続税の財産評価にあたっては、タワマン等の不動産の評価は時価ではなく、相続税評価額を用いて行うため、預貯金として1億円を保有していた場合と、1億円のタワマンを購入した場合とで、納める相続税額が大幅に変わってくることになります。現状、低層階でも高層階でも一律になっている相続税評価額について、高層階に行くほど引き上げることで節税効果を薄めようというのが今回の狙いです。早ければ平成29年に総務省令を改正し、同30年1月から施行される見通しです。

 

相続税評価額は、時価に反映される「眺望」などのメリットは加味されないため、同じ広さであれば低層階も高層階も評価額は同じであり、近年富裕層の相続税対策としてタワーマンションの高層階の部屋を購入する動きが加速していました。こうした動きを受けて国税庁は昨年、タワーマンションの特性を利用した過度の節税に対して監視を強化すると表明。平成28年度税制改正では見送られましたが、総務省と組んで具体的な対応に乗り出したということで、不動産業界や富裕層を中心に強い関心が寄せられています。

 

 

ただ、マンションの時価は、階層だけでなく仕様や地域性、日照時間や近隣設備等影響を与える要因は多々あります。デリケートな性質を持つ時価に対して、いかに評価額を釣り合わせていくのか。税理士業界のみならず不動産業界も大きく揺るがしかねない今回の改正が、今後どのように行われていくか注目されます。

 


とは言うものの、たしかにタワマンの実勢価格と相続税評価額は乖離がありすぎて、今回のような当局の動きが出ることは以前から予想されていましたが、一般的には時価の7掛け(土地は8掛け)が相続税評価額とされているため、仮に改正が入ったとしても不動産投資は相続税対策として、依然有効な手段であることに変わりはないと考えます。

 

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