◆てるみくらぶ、はれのひの被害額は控除できず

この件をニュースで見るたび、これって雑損控除にできないんだよなー厳しいよなーと思ってたんですが、なかなか釈然としない今日この頃です。
雑損控除とは、災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等において、所得控除を受けることができる制度です。
その控除額は以下のいずれか多い金額で、確定申告によって税金を還付してもらいます。

①(差引損失額ー総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

そして損害の原因は、以下のように決められています。

(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領

詐欺と恐喝は、この損害の原因に入っていないんです。
連日報道されていたてるみくらぶとはれのひですが、もはや詐欺と言わざるを得ないと思います。
詐欺だったとしても、返金されない旅行代や振袖代について税制上のバックアップはしないということになります。

 

 

 

振り込め詐欺も同様なのですが、これらの損失というのは、「災害」「盗難」「横領」のいずれにも該当しないと。
このうち「災害」に当たるかどうかの検討では、振込みをしたという行為自体は、自らの意思に基づいてなされたことが明らかである点が強調された裁決が過去に出ています。
旅行にしても、自らその企画に賛同し、自ら旅行代を支払っている。だから「災害」ではないというのです。

厳しいっすわ。
その旅行が予めぽしゃることが分かっているなら、自らの意思で支払うことなんてあり得ないっすわ。
当たり前に旅行に行く、当たり前に振袖が着られるということが大前提としてあるから、その意思が働くんでしょ。
電話越しで自分の孫(と思われる人)が困っている、だから振込むという意思が働くんでしょ。

そしてもう一つの疑問点、「盗難」「横領」は〇なのに、なぜに恐喝は×なのか。
これも理屈は詐欺と同じで、脅されていたにしろ、当事者の意思のもとになされた行為だから。何とも世知辛い。
何らかの救済措置はあって然るべきとは思います。

 

とまー思うところはありますが、判例ではっきりと出てるしこの点が改正されることはないんでしょうね。
今回は確定申告時期ということもあり、あまり馴染みのない雑損控除についてでした。

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