◆マイナンバーカードの提示は本当に依存症対策?
個人的に、カジノ法案は興味深く追っていた事案なのですが、やはりネガティブな意見が多いことかと思います。
治安の悪化やギャンブル依存症の誘発、さらにはマネーロンダリングや犯罪の温床化など、その成立に懐疑的な視線を送る方は多くいることですが、インバウンドの増加や雇用促進効果、そしてその収益性といった大きな観点からすれば、プラスの面がマイナスの面を補って余りあるのではないか、と個人的には考えています。まーなんとなくみなとみらいには作ってほしくない気もします。
先日のニュースで、入場時にマイナンバーカードの提示が必須という方針であるというのを目にしました。
マイナンバーでカジノ入場制限 政府、依存症対策案
政府は20日、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)に関する政府の有識者会議にカジノの依存症対策案を示した。日本人利用客には入場時にマイナンバーカードの提示を求め、入場回数に上限も設ける。入場料の徴収とあわせてギャンブルにのめり込まないような仕組みを整える。カジノに広がるギャンブル依存への懸念払拭をめざす。
(略)
利用客の入場の際にマイナンバーカードの提示を求め、政府のカジノ管理委員会が一元的に利用回数を把握する仕組みを想定する。利用回数が上限を超えた場合には、事業者が入場を断る。
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日本人客と日本在住の外国人から入場料を徴収する。シンガポールでは7000~8000円を徴収しており、同国の水準を参考にして決める。徴収した入場料は、地域の発展などの公益目的に活用することを義務付け、周辺住民の理解を促す。
2017年6月20日付 日本経済新聞より引用
これって表向きはなんかいい感じのこと言ってますが、単純に恐ろしく普及率の低いマイナンバーカードの発行を促しているような気がしないでもないです。
日本人がカジノやりたかったら、マイナンバーカード作ってね。みたいな。
余談ですが、シンガポールで行っている自国民からの入場料の徴収について、日本もそれに倣う形で検討しているようですが、これは逆にギャンブル依存症を誘発しているように思えます。
7000~8000円と安くない入場料を払うことで、必然的にマイナスからのスタートとなり、この負けを取り戻そうとどんどんのめり込むという悪循環に陥るのでは。
人間の心理的に、それが抑止力として働くよりかは、逆の効果に働く気がしてなりません。
話しそれましたが、長い歳月と多額の費用をもって、長年国の悲願であったマイナンバー法がようやく成立、施行の運びとなったものの、わずか2年足らずで早くもオワコン感でてますよね。正直。
国民の利便性向上!行政効率化!とかなんとか都合のいいこと言ってますが、国民の「民」が完全に置いてけぼりになっていて、「国」の利便性向上しか今のところ感じられません。
ましてや我々税理士事務所の人間からすると、本当に厄介な制度作ってくれたよもう。。と、マイナンバーについては語りたいことが多すぎるので割愛します。
何が言いたいかというと、悲願であったこのマイナンバー法、このまま形骸化させてはダメだという危機感が少なからずあるのではないかと思います。
すでに株式の証券口座への開示義務化など、何かにつけてマイナンバー、マイナンバーというシーンが見られるようになってきてますが、今後預金口座との紐づきや、生命保険などの保険加入時、さらにはパチンコや競艇、競馬などのギャンブルの際もマイナンバーの提示が必須になるかもしれません。
その足掛かりがこのカジノでの提示だとして、入場時だけでなく換金時やチップへの両替時にも必要だとしたら、ちょっと不気味な感じもします。
そこまでして国民を一元管理し、一円たりとも税の徴収漏れ許さじという本気の姿勢だとしたら。。申告納税制度なんぞ撤廃し、すべての税金を国が賦課決定することになるのでしょうか。そしたら我々の仕事がなくなってしまいますね!困る。
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