◆寄付金控除対象外の大制裁

やはりと言うか、なるべくしてなったと言うか、総務省もついに本気を出した感じですね。
早ければ2019年4月1日より、通知を守らない自治体への寄付は、寄付金控除の対象外とする方針を固めたようです。

この通知というのは、2年前の2016年から度々出されていましたが、

・返礼品は地場産品に限ること
・返礼品の割合は、寄付額の3割以下とすること

と通知を行っていました。
過熱する返礼品競争の沈静化を図り、ふるさと納税の本来の趣旨である「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」を目指す意図があったと思います。
地方創生のカンフル剤と言いますか。
しかし、これまでは通知のみで法的拘束力はなく、そんなの関係ね無視という自治体と通知を遵守する自治体とに二分されました。
通知を守った結果、寄付額が激減した自治体(焼津市とか長野県伊那市)もあれば、自治体によっては寄付額激増メシウマという構図がうまれました。
今年7月には、通知に従わない12自治体を初公表しましたが、もはやどこ吹く風。

 

 

 

特に2017年度135.3億円の寄付額を集め、全国1位となった大阪府泉佐野市は、そのお礼品として新潟県産の米や信州の桃、鹿児島県産のうなぎといった他県の農作物から、プレモル・エビスといったビール類全国の特産品詰め合わせ、更にはモンゴルで開催される国際マラソンへのパック旅行券など、まーしかしこれでもかというくらいバラエティに富んだラインナップです。地場産品に限る!だが断る!的な。
ここまで吹っ切れてると、最早きよきよしい(ケイスケホンダ)ですね。なぜか変換できない。
しかし本田はスケールが違いますね。

Q.プロフェッショナルとは?
A.ケイスケホンダ

税法のどの条文よりも何言ってるか分からないです。
そこにシビれる!あこがれる

 

 

実質負担2000円で、様々な返礼品がもらえるということはつまり得しかしない制度ですが、その効果を実感しづらいというのも確かです。
これについては別の機会に書こうと思いますが、この「返礼品割合3割」のルールについて、面白い解釈もあるなと感心した自治体があります。
焼津市や長野県伊那市は、通知を守った結果ランクを落としました。まさに正直者が馬鹿を見た感じです。ポイズンですね。
宮崎県都城市も通知を守りました。しかしランキングを1位から3位に落としたものの、依然として高い寄付金額を受け入れいています。なぜか。
それは返礼品の価格を、「事業者の利益を乗せた定価(市場価格)」から、「原価」と捉えたことによって、返礼品の質をキープしました。
まさに上祐もびっくりなあーいえばこーいう。
消費税や法人税も穴があれば塞ぎ、また穴があれば塞ぎと毎年のように改正がありますが、こういういたちごっこみたいなのはどこの世界でも発生するんだなとつくづく思いました。

 

だいぶ話しが逸れましたが、寄付金控除の対象外というのは野田総務相もやっぱ怒ってたんでしょうね。
しかしスピンドル(通称ガクトコイン)で物議を醸した野田さん、本当なら個人的にはこっちの方が大問題と思いますが。タイーホでしょこれ。
1万円寄付して8000円の税額控除があったのに、その控除がないとしたら、まず間違いなく泉佐野市の寄付金額は減りますよねそりゃ。
ただ千代松大耕市長が言うように、
「泉佐野市は財政破綻寸前だったので、ふるさと納税に積極的に取り組んできた。全国から多くの寄付が寄せられ感謝の気持ちでいっぱい。」
という言葉。
ともすれば、利益優先の和を乱す存在とも捉えられかねませんが、地方自治の大原則に則って、このふるさと納税という制度を積極的に有効活用した最先端の自治体とも言えるかなと思います。
まして少子高齢化や過疎化が進む中、座して死を待つなんてことは避けなきゃいけないですし。何かしら対策は打たなきゃですし。
そう考えるとこの制度の是非というのは、とても奥が深い根深い問題ですね。
皆が皆納得の清々しい気持ちになる制度立法を望みます。

 

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